『肥満は健康に悪い』
多くの人の共通認識として、このような考え方があるのではないでしょうか。
では、なぜ肥満は健康に悪いのでしょうか。
その理由は肥満細胞から分泌される善玉アディポサイトカインの働きが弱まり、悪玉アディポサイトカインの働きが強くなるからです。
目次
善玉アディポサイトカインの種類と働き
善玉アディポサイトカインには、レプチンとアディポネクチンがあります。
レプチンは食欲を抑える
レプチンの働きは、食欲の抑制、エネルギー消費量の亢進です。
つまり、身体が太らないように(やせるように)してくれる働きがある、とても優れたアディポサイトカインです。
ちなみに肥満者の場合、レプチンの分泌量が増えます。肥満者は脂肪細胞が多いのだから、当然ですよね。
「レプチンの分泌量が多いなら、肥満者は太らないのでは?」
と思いますよね。
でも残念ながら太ります。理由は、肥満者はレプチンが効きにくい身体になっているからです。
アディポネクチンは血糖値を下げる
アディポネクチンの働きは、インスリン抵抗性を改善すること。つまり、血糖値が下がりやすい状態にしてくれます。
ただし、肥満により脂肪細胞が増えると、アディポネクチンの分泌量は低下してしまいます。
悪玉アディポサイトカインの種類と働き
悪玉アディポサイトカインには、アンギオテンシノーゲン、TNF-α、PAI-1があります。
悪玉として紹介しますが、どれも人にとっては必要な物質です。問題なのは、その量が増えすぎることです。
アンギオテンシノーゲンは血圧を上げる
アンギオテンシノーゲンの働きは、血圧を上げることです。
血圧を維持するためには、アンギオテンシノーゲンが必要ですが、分泌量が多過ぎると高血圧を引き起こしてしまいます。
TNF-α(腫瘍壊死因子)は血糖値を上げる
TNF-αの働きは、インスリン抵抗性の増大と炎症反応を引き起こすことです。
インスリン抵抗性が増大すると、インスリンが効きづらい状態になり、血糖値が上がりやすくなってしまいます。
PAI-1(プラスミノーゲン活性化抑制因子)は血栓を作る
PAI-1の働きは、血栓を溶けにくくすることです。
血栓が溶けにくいということは、血栓ができやすいともいえます。多過ぎるPAI-1は、血栓が血管に詰まるリスクを挙げてしまうのです。
アディポサイトカインの授業まとめ
以上、アディポサイトカインのお話でした。
- 善玉には、レプチン、アディポネクチンがある
- 悪玉には、アンギオテンシノーゲン、TNF-α、PAI-1がある
- 肥満になると悪玉の働きが増え、高血圧、高血糖、血栓形成のリスクを高める
この3点を理解しておいてくださいね。