ビタミンDの生理作用と欠乏症・過剰症_カルシウム代謝に関わるビタミン

この記事には広告を含む場合があります

ビタミンD_アイキャッチ

脂溶性ビタミンであるビタミンDの生理作用と欠乏症・過剰症について解説していきます。

骨といえばカルシウム!

という認識をお持ちの方も多いと思うのですが、カルシウムと同じくらいビタミンDは骨と関わりの深い栄養素です。

ビタミンDはカルシウム代謝に関わるビタミンで、キノコ類に多く含まれるD2動物性食品に多く含まれるD3があります。

欠乏すれば、当然、骨に異常が起こります。

ビタミンDの化学名はカルシフェロール

ビタミンDの化学名はカルシフェロールです。

さらに、ビタミンDはビタミンD2(エルゴカルシフェロール)ビタミンD3(コレカルシフェロール)に分類することができます。

ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)はキノコに多く含まれる

ビタミンD2は植物性食品に多く含まれる…といいたいところですが、植物性食品にはほとんど含まれていません。

じゃあ何に含まれているのかというと、キノコ類です。特にシイタケが有名ですね。

ビタミンD3(コレカルシフェロール)動物性食品に多く含まれる

ビタミンD3は動物性食品に多く含まれています。特に魚介類に多く含まれています。

ついでにいえば、ビタミンD3は食品から摂取しなくても、ヒトの体内でコレステロールから生合成することが可能です。

プロビタミンDをビタミンDに変化させるには紫外線が必要

ビーチ

ビタミンD2とビタミンD3も最初は前駆体、つまりプロビタミンDと呼ばれる状態で存在しています。

前駆体

前駆体とは、ある物質の前段階の物質。

ビタミンD2の前駆体をエルゴステロール、ビタミンD3の前駆体を7-デヒドロコレステロールといいます。

その名の通り、どちらもコレステロール系の物質です。

では、このプロビタミンDは何がきっかけでビタミンDに変化するのでしょうか。

それは『紫外線』です。

何かと悪者扱いされる紫外線ですが、ビタミンDの生成には必要不可欠な要素なんです。

ヒトの場合、食品からビタミンDを摂取しなくても、皮膚中のコレステロール(7-デヒドロコレステロール)からビタミンD3を合成できちゃうんですが、紫外線の照射が無いことには、この反応を起こすことができないんですよね。

だから、適度な日光浴をして、適度に紫外線を浴びることも大切なんですよ!

ツカサ

ちなみに、干しシイタケにビタミンD2が多く含まれる理由の1つも紫外線を浴びているからです。ただ、乾物に含まれる栄養素は濃縮されているので、水戻しの状態で考えましょうね!

ビタミンDは肝臓と腎臓で活性化(水酸化)される

ビタミンD2やビタミンD3がヒトの生体内で働くためには、『活性化(水酸化)』という処理を行わなければなりません。

このビタミンDの活性化を行う臓器は、肝臓腎臓になります。

活性型ビタミンDは血中カルシウム濃度を高くする

牛乳

さて、肝臓と腎臓で活性型に変化したビタミンDには、どんな働きがあるのでしょうか。

それは『血中カルシウム濃度の調節』です。

具体的には、

  • 小腸からのカルシウムの吸収促進
  • 腎臓でのカルシウムの再吸収促進

などを行い、血中カルシウム濃度を高くする働きがあります。

再吸収

再吸収とは、尿として排泄予定の物質を血液中へ再び戻すこと。

ビタミンDの欠乏症:くる病・骨軟化症、骨粗鬆症

骨

そんなカルシウム代謝に関わるビタミンDが欠乏すれば、当然、骨に異常が現れます。

具体的な欠乏症としては、強くて硬い骨が作れなくなってしまう『骨軟化症』や、骨がスカスカになってしまう『骨粗鬆症』が有名ですね。

くる病

くる病とは、骨軟化症が小児に発症した状態。

ツカサ

日焼け止めを365日塗っていたり、極端に外出を控えたりしていると、生合成されるビタミンDが欠乏し、骨が弱ってしまうかもしれません。注意しましょう!

ビタミンDの過剰症:臓器への石灰沈着

ビタミンDが慢性的に過剰になると、腎臓などにカルシウムの結晶である石灰が沈着することがあります。

ビタミンDの授業まとめ

以上、ビタミンDのお話でした。

  • ビタミンDにはD2とD3がある
  • プロビタミンDからビタミンDへの変化には紫外線が必要
  • ビタミンDは肝臓と腎臓で活性型になる
  • ビタミンDはカルシウム代謝に関与
  • 欠乏症には、くる病・骨軟化症、骨粗鬆症がある

この5点を覚えておいてくださいね。

<参考文献>
・基礎栄養学(改訂第5版),南江堂,2015.
・三訂 基礎栄養学(Nブックス),建帛社,2015.
・生化学(標準栄養学講座),金原出版株式会社,2002.