コレステロールについて解説していきます。
『コレステロールは卵に多く含まれる』というイメージをお持ちの方も多いと思うのですが、コレステロールは体の中でも合成されるということをご存知でしょうか。
コレステロールは肝臓でアセチルCoAから合成され、胆汁酸やホルモンの原材料として利用されています。
目次
コレステロールは肝臓で1.0g/日合成される
コレステロールは肝臓で合成されます。
肝臓での合成量は1日1.0g(1,000mg)程度です。
それに対し、日本人が食事から摂取しているコレステロール量は1日0.3g(300mg)程度。※平成28年国民健康栄養調査報告より
食事が摂取しているイメージの強いコレステロールですが、肝臓での合成量の方が圧倒的に多いことがわかりますね。
コレステロール合成の原材料はアセチルCoA
コレステロールはアセチルCoAを原材料として合成されます。
コレステロール合成の詳しい流れは以下の通りです。
HMG-CoA還元酵素はコレステロール合成の律速酵素
代謝過程で登場するHMG-CoA(ヒドロキシメチルグルタリルCoA)と呼ばれる物質。
コレステロールを合成するには、このHMG-CoAをメバロン酸に変化させる必要があります。
この変化に使われている酵素をHMG-CoA還元酵素といいます。ちなみに、HMG-CoA還元酵素はコレステロール合成の律速酵素です。
HMG-CoA還元酵素はフィードバック調節を受ける
ちなみに、このHMG-CoA還元酵素は、生体内のコレステロール量が多くなると、コレステロールによって酵素の働きが阻害されます。
これをフィードバック調節といいます。
血中のコレステロール濃度は、このフィードバック調節によって一定に保たれているのです。
コレステロールからビタミンDや胆汁酸、ホルモンが作られる
コレステロールは、生体内でさまざまな物質の原材料になります。
具体的には、
- 胆汁酸
- ビタミンD
- 副腎皮質ホルモン
- 性ホルモン
などです。
関連記事>>ビタミンDの生理作用と欠乏症・過剰症
コレステロールはエネルギー源にならない
ちなみに、コレステロールはエネルギー源(ATPの材料)にはなりません。
同じ脂質でもエネルギー源になる中性脂肪もあれば、コレステロールのようにならないものもあるということです。
中性脂肪がエネルギーになる仕組みを勉強したい方は、この記事『トリアシルグリセロール(中性脂肪)は空腹時に分解される』へどうぞ!
コレステロールの授業まとめ
以上、生体内で合成されるコレステロールのお話でした。
- コレステロールは肝臓で合成される
- 食事摂取量より、生合成量の方が多い
- アセチルCoAがコレステロールの原材料
- HMG-CoA還元酵素は律速酵素
- コレステロールから胆汁酸、ビタミンD、ホルモンが作られる
この5点を覚えておきましょう。
<参考文献>
・基礎栄養学(改訂第5版),南江堂,2015.
・三訂 基礎栄養学(Nブックス),建帛社,2015.
・人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 総論(改訂第2版),南江堂,2013.