カロリーという言葉は、栄養士や管理栄養士のような専門職でない人でもよく使用している言葉だと思います。
「カロリーの摂り過ぎはよくない」
「揚げものはカロリーが高い」
などのぼんやりした知識は多くの方が持っていると思うのですが、じゃあカロリーっていったい何なんでしょうか。本当に悪いものなのでしょうか。
今回の授業では『カロリーとはいったい何なのか、いったい何から産生されるものなのか』というお話を中心にしていきます。
目次
カロリーとはエネルギー(熱量)の単位です
「この食品のカロリーは高い」
「今日はカロリーを摂りすぎてしまった」
そんな会話をしたり、聞いたりしたことはありませんか?
この『カロリー(cal)』という単語、これはエネルギー(熱量)の単位です。
例えば重さ(重量)には『グラム(g)』がありますよね。これと一緒です。
だから正しい表現をするなら、
「この食品のエネルギーは高い」
「今日はエネルギーを摂りすぎてしまった」
と言うべきなのです。
エネルギーは生きるうえで必要不可欠なもの
現代日本では『エネルギー(カロリー)を摂取すること=悪いこと』という風潮があります。
たしかにエネルギーの過剰摂取は肥満の原因となるため、摂り過ぎはよくありません。
しかし私たち人間は、エネルギーを摂取しているから生きることができるのです。
摂取したエネルギーが体内でいったい何に使われているのかというと、
- 体温を維持するための熱エネルギー
- 体を動かすためのエネルギー
- 酵素反応を進めるためのエネルギー
などに使用されてます。
体温が維持できなくなったり、体が動かせなくなったりしたら人は死んでしまいますよね。
したがって、『エネルギーは適正量を必ず摂取しなければならない』といえるのです。
エネルギーはタンパク質、脂質、炭水化物(糖質)から産生される
私たちは食事を摂取することでエネルギー(kcal)を摂取することができます。
では、食品に含まれているどんな栄養素がエネルギーに変換されるのでしょうか?
それは
- タンパク質(Protein)
- 脂質(Fat)
- 炭水化物(Carbohydrates)
です。
これら3つの栄養素を三大栄養素と呼んだり、エネルギー産生栄養素と呼んだりします。
ちなみにアトウォーター係数と呼ばれるもの使うと各栄養素1g当たりのエネルギー量を計算することが可能です。
アトウォーター係数では、
タンパク質1g=4kcal
脂質1g=9kcal
炭水化物1g=4kcal
となっています。
よく「油を食べると太る」といわれるのは、重量当たりのエネルギー量が多いからなんですね。
なので例えば、食品Aにタンパク質、脂質、炭水化物が10gずつ含まれているのであれば、食品Aのエネルギー量は、
(10g×4kcal)+(10g×9kcal)+(10g×4kcal)=170kcal
と計算できるわけです。
ビタミンやミネラルはエネルギー源にならない
食品中にはこれら3つの栄養素以外にもビタミンやミネラル(無機質)が含まれています。
ただし、ビタミンやミネラルはエネルギーにはならず、体の調子を整えてくれるタイプの栄養素です。
つまり、ビタミンやミネラルをたくさん摂取してもエネルギーを確保することはできないということです。
エネルギー産生栄養素バランスが重要
1日に摂取すべきエネルギー量ですが、これは個人差が大きいので一概に「○○kcalの食事を摂取しましょう!」とは残念ながらいえません。
理由は体系の肥満/やせ、身体活動量の多い/少ない、性別、年齢…など考慮すべき要素が多いからです。
一応、厚生労働省が作成している『日本人の食事摂取基準2015年版』には『推定エネルギー必要量(EER)』というものがあって、各年代・性別ごとのエネルギー量の目安が公表されていますが、これはあくまでも参考値。あまり妄信してはいけません。
ただし、摂取エネルギー量の内訳は大切です。
先ほども述べたように、エネルギーはタンパク質、脂質、炭水化物から産生されます。
つまり、この3つの栄養素から摂取するエネルギー比率が重要なのです。
『日本人の食事摂取基準2015年版』によると、18~69歳(男女共通)の場合、
- タンパク質:13~20%
- 脂質:20~30%
- 炭水化物:50~65%
が理想的なエネルギー配分となっています。
1日に2,000kcalの食事を摂るにしても、その内訳のバランスが崩れていれば健康的な食生活とはいえないということですね。
エネルギーの授業のまとめ
以上、エネルギーの基本的なお話でした。
- エネルギーはタンパク質、脂質、炭水化物から産生される
- 摂取エネルギー量だけでなく、エネルギー産生栄養素バランスが重要
この2点を覚えておいてくださいね。