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食品添加物の表示方法について解説していきます。
こちらの記事(食品添加物の分類)で分類方法については解説しましたので、今回は消費者に添加物について知らせるための表示に関するお話です。
添加物の表示のルールの基本は『使ったら表示する』ことが大原則です。
ただし何事にも特殊なケースや例外が存在しますので、
- 添加物の表示の原則
- 一括名表示
- 用途名併記
- 表示免除
について解説していきます。
ツカサ
表示のルールは食品表示法に規定
食品添加物の表示のルールは食品表示法(に基づく食品表示基準)に規定されています。
原則、すべての添加物を物質名で表示
食品表示法に基づく食品表示基準には、
(4) 添加物
① 物質名表示関係
ア 食品に含まれる添加物については、栄養強化の目的で使用した添加物、加工助剤及びキャリーオーバーを除き、全て当該添加物を含む旨(以下「物質名」という。)を表示するものであること。
とあります。
つまり、(例外を除き)原則、食品に使用したすべての添加物は物質名で表示しなければなりません。
なので、例えばある食品を作るときに、添加物としてキシリトールという物質を使用した場合、
のように表示する必要があるのです。
用途名を併記する必要がある添加物の一覧
食品の原材料表示の項目を眺めてみると、
のような表示になっていますよね。
先ほど勉強したように、添加物は物質名で表示しなければならないのですが、ここには物質名であるキシリトールの前に『甘味料』と表示がありますよね。
これは用途名と呼ばれるもので、『何のための添加物なのか(甘くするため、色を付けるため等)』を意味します。
用途名については、表示をしなければならない場合と表示をしなくてもよい場合が存在します。
用途名を併記しなければならない添加物は以下の通りです。
- 甘味料
- 着色料
- 保存料
- 増粘剤
- 酸化防止剤
- 発色剤
- 漂白剤
- 防かび剤
上記に該当する添加物の場合、物質名だけでなく、用途名も併せて表記する必要があります。
一括名表示が認められている添加物の一覧
食品添加物のなかには、一括名表示が認められている添加物があります。
個々の成分まで表記する必要性が薄い添加物や食品中にも含まれているような物質については、一括名での表示が認められています。
たとえば、イーストフードです。
イーストフードは、パンを発酵させる目的で使用される添加物で、パン酵母のエサとして働きます。
イーストフードのなかには塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、グルコン酸カリウム・・・などのいろいろな物質が入っているのですが、これらを物質名として1つ1つ表記すると大変ですし、それぞれの物質が『酵母のエサ』という役割は同じです。
このように個々の物質を表示する意味合いが薄いケースの場合、一括名表示が認められます。
一括名での表示が認められる添加物は以下の通りです。
- イーストフード
- ガムベース
- かんすい
- 酵素
- 光沢剤
- 香料
- 酸味料
- 調味料
- 豆腐用凝固剤
- 苦味料
- 乳化剤
- pH調製剤
- 膨張剤
- 軟化剤
上記に該当する添加物の場合、個々の物質名を表記する必要はありません。
添加物の表示が免除される3つのパターン
ここまで紹介してきたように、細かいルールはあれど、基本的には使った添加物は食品包装に表示しなければなりません。
しかしながら、添加物を使用したとしても表示が免除されるパターンが3つ存在します。具体的には、
- 栄養強化の目的で使用した添加物
- 加工助剤
- キャリーオーバー
に該当する添加物は、表示が免除となります。
栄養強化の目的で使用した添加物
『栄養強化の目的で使用した添加物(栄養強化剤)』とは、そのままの意味で、食品中の栄養成分を強化する(増やす)目的で使用される添加物のことです。
例えば、食品中のビタミンCを増やす目的でL-アスコルビン酸(ビタミンC)を添加した場合などが該当します。
加工助剤
『加工助剤』とは、
食品の加工の際に添加されるものであって、当該食品の完成前に除去されるもの、当該食品の原材料に起因してその食品中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの又は当該食品中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該食品に及ぼさないもの
と定められています(難しい…)。
ツカサ
ということです。
例えば、スーパーやコンビニなどでカット野菜が販売されていますよね。
このカット野菜は、殺菌してから食品包装に封入されるのですが、このとき殺菌料(次亜塩素酸ナトリウム)が使用されることがあります。
しかし、カット野菜の食品包装には『殺菌料(次亜塩素酸ナトリウム)』と表示する必要はありません。
理由は、この『殺菌料(次亜塩素酸ナトリウム)』は除去されたうえで、食品包装に入れられるからです。
このように『食品を加工する過程で使用される添加物で、最終製品に残存しない添加物』を加工助剤といい、表示が免除されるのです。
キャリーオーバー
『キャリーオーバー』とは、
食品の原材料の製造又は加工の過程において使用され、かつ、当該食品の製造又は加工の過程において使用されないものであって、当該食品中には当該添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの
と定められています(これも小難しい…)。
宝くじなどでも『キャリーオーバー』という用語を使いますが、その場合は懸賞金が持ち越されていることを意味しますよね。
添加物の場合もそれと同じで、添加物が原材料から持ち越されていることをキャリーオーバーと呼び、キャリーオーバーに該当する場合、表示が免除されます。
キャリーオーバーとして認められる具体例
例えば、小麦粉(原材料)とバター(原材料)を使ってクッキー(製品)を作りたいと思います。
このとき、原材料であるバターに添加物として酸化防止剤が使用されていたとします。
この場合の酸化防止剤は、原材料であるバターから持ち越された添加物であるため、キャリーオーバーとして扱い、表示が免除されます。
バターに使用された酸化防止剤は、あくまでも『バターの酸化を防ぐための添加物』であって、クッキーの酸化を防ぐことができるわけではないので、表示をする必要はないということです。
キャリーオーバーとして認められない具体例
しかし、原材料から持ち越されたとしても、キャリーオーバーとして認められないケースが存在します。
先ほどと同様に、小麦粉(原材料)とバター(原材料)を使ってクッキー(製品)を作りたいと思います。
このとき、原材料であるバターに添加物として着色料が使用されていたとします。
この場合の着色料は、原材料であるバターから持ち越された添加物となりますが、表示は免除されません。
つまりクッキーの食品包装に着色料を表示しなければならないのです。
原材料から持ち越されたにも関わらず、キャリーオーバーと認められない理由は、着色料が添加物として機能しているからです。
今回例に挙げた着色料ですが、バターに色を付けるための添加物として使用されました。
しかし、最終製品であるクッキーの色に影響を及ぼしていますよね。
つまり、着色料としての効果が最終製品で発揮されていますので、このようなケースでは原材料から持ち越されたとしても表示は免除されないことになっています。
着色料以外にも、香料や甘味料などのヒトの五感に訴える添加物であれば、基本的にキャリーオーバーとは認められません。ぜひ覚えておきましょう。
食品添加物の表示の授業まとめ
以上、食品添加物の表示の授業でした。
- 食品添加物の表示は食品表示法に規定される
- 使用した添加物はすべて物質名で表示
- 用途名併記、一括名表示をするケースも存在
- 表示免除となるのは『栄養強化剤』『加工助剤』『キャリーオーバー』
この4点を理解しておいてくださいね。