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糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の種類と代謝経路の違いについて解説します。
アミノ酸の分類方法にはいろいろなパターンが存在しますが、糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸は『代謝経路による分類方法』となります。
具体的には、アミノ酸の異化(分解)により生じる炭素骨格が、
- グルコース合成に利用される
- ケトン体合成に利用される
の違いにより、糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸に分類されることになります。
それでは、糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸がどのように代謝されるのかを勉強していきましょう。
糖原性アミノ酸は糖新生に利用できるアミノ酸
糖原性アミノ酸とは、糖新生に利用できるアミノ酸をいいます。
つまり、(アミノ酸を構成する)炭素骨格が『グルコース合成に利用できるアミノ酸』ともいえます。
ツカサ
上図のように、
- ピルビン酸からオキサロ酢酸へ代謝され、グルコース合成に利用される経路
- クエン酸回路を経由してオキサロ酢酸へ代謝され、グルコース合成に利用される経路
が存在しますが、どちらも最終的にはグルコース合成につながるので、青字のアミノ酸はすべて糖原性アミノ酸です。
関連記事①>>クエン酸回路の場所と代謝のポイント
関連記事②>>糖新生が行われる臓器と代謝のポイント
糖原性アミノ酸の一覧
糖原性アミノ酸は18種類あります。
- アラニン
- システイン
- グリシン
- プロリン
- セリン
- アルギニン
- ヒスチジン
- グルタミン
- グルタミン酸
- アスパラギン
- アスパラギン酸
- メチオニン
- バリン
- スレオニン ※
- イソロイシン ※
- チロシン ※
- フェニルアラニン ※
- トリプトファン ※
(※はケト原性アミノ酸でもある)
これらのアミノ酸は糖新生に利用できる(グルコースになれる)アミノ酸です。
ケト原性アミノ酸はケトン体合成に利用できるアミノ酸
ケト原性アミノ酸とは、ケトン体合成や脂質合成に利用できるアミノ酸をいいます。
関連記事>>ケトン体は空腹時(絶食時)に合成される
上図のように、緑字のケト原性アミノ酸は、アセチルCoAを経由してケトン体合成や脂肪酸合成に利用されることになります。
ケト原性アミノ酸の一覧
ケト原性アミノ酸は7種類あります。
- ロイシン
- リジン
- スレオニン ※
- イソロイシン ※
- チロシン ※
- フェニルアラニン ※
- トリプトファン ※
(※は糖原性アミノ酸でもある)
つまり、完全にケト原性アミノ酸のみに該当するのはロイシンとリジンの2つだけといえます。
ツカサ
糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の授業まとめ
以上、糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸のお話でした。
- 糖原性アミノ酸は糖新生に利用される
- ケト原性アミノ酸はケトン体合成に利用される
- ロイシンとリジンは糖新生に利用できない
この3点を覚えておいてくださいね。
<参考文献>
・基礎栄養学(改訂第5版),南江堂,2015.
・三訂 基礎栄養学(Nブックス),建帛社,2015.
・人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 総論(改訂第2版),南江堂,2013.