みなさん、グリコーゲンって知っていますか?
グリコーゲンは動物が体内に貯蔵している多糖類で、私たちヒトの体内にも存在しています。
それではグリコーゲンはどのようなタイミングで合成されるのでしょうか。そしてそのグリコーゲンは何に使われるのでしょうか。
その答えは『食後』と『空腹時』にあります。
グリコーゲンは食後に肝臓と筋肉に貯蔵
私たちが摂取した糖質のうち、すぐにエネルギーとして利用されないものは、グリコーゲンという形で貯蔵されます。
つまり、グリコーゲンとは、糖質の貯蔵形態といえるのです。
ヒトの体内でグリコーゲンを貯蔵する場所は、主に肝臓と筋肉です。具体的な貯蔵量としては、成人の場合、肝臓に約100g、筋肉に約300gのグリコーゲンを貯蔵することが可能です(個人差あり)。
何のためにグリコーゲンを蓄えているのかというと、食事から糖質が供給されないとき、つまり空腹時に備えて糖質を蓄えているのです。
補足:グリコーゲンは水分も蓄える
ちなみに、グリコーゲンは水を蓄えることもできます。
具体的には、グリコーゲン1g当たり3g程度の水と結合できます。
なので、私たちの体内に400gのグリコーゲンが貯蔵されているとすると、その3倍に当たる1,200gの水を貯蔵することができるのです。
空腹時の血糖維持やエネルギー源として利用
食後に蓄えたグリコーゲンは、空腹時に分解することで利用することができます。ただし、使い道が肝臓グリコーゲンと筋肉グリコーゲンで異なります。
肝臓グリコーゲンは血糖値の維持に、筋肉グリコーゲンは筋肉のエネルギー源として利用されるのです。
肝臓グリコーゲンの分解
肝臓のグリコーゲンを分解すると、グルコースになります。
この反応にはグルコース-6-ホスファターゼという酵素が関わっています。
グリコーゲンを分解すると、グルコース-6-リン酸が生成します。このグルコース-6-リン酸からリンを外してグルコースを生成するには、グルコース-6-ホスファターゼが必要になります。
肝臓にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しているので、グルコースを生成することができます。
つまり、肝臓グリコーゲンを分解することで、空腹時の血糖値の維持・回復に利用することができるのです。
筋肉グリコーゲンの分解
それに対し、筋肉のグリコーゲンを分解してもグルコースを作ることはできません。
なぜなら、筋肉にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しないからです。
筋肉のグリコーゲンも分解すると、グルコース-6-リン酸ができるのですが、筋肉中にグルコース-6-ホスファターゼが存在しないため、リンを外せません。
つまり、筋肉グリコーゲンを分解してもグルコースを作れない(血糖値の維持には利用できない)のです。
じゃあ筋肉グリコーゲンは役立たずなのかというと、そういうわけではありません。
グルコースにはなれませんが、空腹時や運動時の筋肉のエネルギー(ATP)源として利用することができるのです。ゆえに、筋肉にグリコーゲンを蓄えておくことで、マラソンなどの持久的な運動時に役に立ちます。
グリコーゲンの授業まとめ
以上、グリコーゲンのお話でした。
- グリコーゲンは食後に合成、空腹時に分解
- グリコーゲンは肝臓と筋肉に貯蔵
- 肝臓グリコーゲンを分解するとグルコースになる
- 筋肉グリコーゲンを分解するとエネルギー源になる
この4点を理解しておいてくださいね。
<参考文献>
・基礎栄養学(改訂第5版),南江堂,2015.
・三訂 基礎栄養学(Nブックス),建帛社,2015.