還元糖と非還元糖の分類と構造や性質の違い

還元糖と非還元糖

今回は還元糖非還元糖について勉強していきます。

以前書いた『単糖類と二糖類の種類まとめ』で、

スクロースは今回紹介する他の糖と違い、還元性をもたない『非還元糖』と呼ばれる糖です。

還元性をもたないという性質は、アミノ酸と反応しにくいことを意味します(アミノカルボニル反応を起こさない)。

という感じで簡単に非還元糖について触れましたが、今回はさらに詳しく還元糖と非還元糖について解説していきます。

還元糖と非還元糖の分類

まず細かい話をする前に、具体的な還元糖と非還元糖をリストでまとめておきます。

※といっても、人工甘味料まで含めるとかなりの種類になってしまうので、代表的なものを中心に紹介します。また、ソルビトールなどの糖アルコールは除外しています。

代表的な還元糖

  • グルコース
  • フルクトース
  • ガラクトース
  • マルトース
  • ラクトース
  • ラクツロース
  • セロビオース

ツカサ

特に青字にしてるものが有名です。基本的に単糖類は還元糖と覚えておいてくださいね。

代表的な非還元糖

  • スクロース
  • トレハロース

ツカサ

非還元糖の代表はスクロース(ショ糖)です。これは超有名なので必ず覚えておきましょう。

還元糖と非還元糖の違いは還元基(還元性)の有無

これらの還元糖と非還元糖の違いは、『還元基(還元性)の有無』です。

用語解説
『還元する』とは、電子(水素)を与えることを意味する。

糖の構造内には、アルデヒド基(-CHO)とケトン基(C=O)があり、基本的にはアルデヒド基が還元性を示します

なので糖の構造内にアルデヒド基があれば、その糖は還元糖といえます。

反対に、アルデヒド基がなければ、その糖は非還元糖といえます。

例えばグルコースの場合、

グルコースの還元性

このような構造になっており、アルデヒド基の部分が還元性を示します。

補足説明
フルクトースはケトン基をもつケトースだが、還元性をもつ還元糖である。理由は、水溶液中でケトン基がアルデヒド基に変化するから。

スクロースの非還元性

スクロースが還元性を示さない理由は、グルコースとフルクトースが結合するときに、還元基同士でくっつくからです。

その結果、還元基が失われるため、還元性の無い非還元糖になるのです。

還元基(還元性)の有無による性質の違い

ではこの還元基の有無によって、還元糖と非還元糖にどのような差が生まれるのでしょうか。

それは『糖の酸化のされやすさ』に影響を与えます。

前述したように、『還元する』とは『電子(水素)を与えること』を意味します。

つまり、『還元糖は、他の物質に電子(水素)を与える性質をもつ』ことになります。

還元糖の酸化

裏を返せば、『電子(水素)が失われる』性質を持つともいえ、『還元糖は、他の物質に電子(水素)を奪われやすい性質をもつ』ともいえますよね。

生化学の世界では『電子(水素)が失われること』を『酸化される』と表現するので、還元糖は酸化反応が起こりやすい糖といえるのです。

還元糖と非還元糖の授業まとめ

以上、還元糖と非還元糖のお話でした。少し化学の要素が多くて大変だったかもしれませんね。

  • 単糖類はすべて還元糖
  • 二糖類のうちスクロースは非還元糖
  • 還元糖はアルデヒド基をもつ
  • 還元糖は酸化されやすい糖

この4点を覚えておいてください。

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