ケトン体と呼ばれる物質をご存知でしょうか。
ケトン体とは、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称です。
今回は、このケトン体がいつ、どこで合成されるのか。そしてどこで、どのようにして利用されるのかを解説していきます。
目次
ケトン体は空腹時にアセチルCoAから合成される
ケトン体が合成されるタイミングは空腹時・絶食時です。
この記事(中性脂肪は空腹時に分解される)で、空腹時には脂肪酸が分解されてアセチルCoAが生成するというお話をしましたよね。
実はこのアセチルCoA、すべてがエネルギー(ATP)合成に利用されるわけではありません。
脂肪酸分解により生じたアセチルCoAの一部は、ケトン体合成に利用されるのです。
ケトン体は肝臓のミトコンドリアで合成される
ケトン体はどこの臓器組織でも合成できるわけではありません。
ケトン体は肝臓のミトコンドリア内で合成される物質です。
肝臓のミトコンドリア内でアセチルCoAを起点として、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの3つのケトン体が合成されるのです。
ケトン体は肝臓以外の組織でエネルギー源として利用される
肝臓で合成されたケトン体は、血液中に放出され、肝臓以外の組織(脳や心臓、筋肉など)に取り込まれます。
そして、取り込まれた組織内で再びアセチルCoAに変換され、空腹時のエネルギー源として利用することができるのです。
ただし、ケトン体のうちアセトンだけはエネルギー源として利用されません。アセトンは呼気と一緒に、体外へ排出されます。
ケトン体は酸性。アシドーシスの原因にも
ちなみにこのケトン体、酸性物質です。
つまりケトン体が体内に蓄積し過ぎると、血液がどんどん酸性に傾いていってしまい、アシドーシス(ケトアシドーシス)と呼ばれる病態になることがあります。
ケトン体が増えすぎてしまう原因としては、長期間の飢餓状態や重症化した糖尿病などがあります。
ケトン体の授業まとめ
以上、ケトン体のお話でした。
- ケトン体はアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称
- ケトン体は空腹時・絶食時に肝臓で合成される
- ケトン体は肝臓以外の組織でエネルギー源として利用可能
ケトン体に関しては、この3点を理解しておいていただければバッチリです。
<参考文献>
・基礎栄養学(改訂第5版),南江堂,2015.
・三訂 基礎栄養学(Nブックス),建帛社,2015.