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健康に良い食品として取り上げられる機会の多い納豆。
納豆に関する話題として、
「納豆を食べたら血液がサラサラになるって本当?」
「納豆を食べたら血液が固まりやすくなるって聞いたけど?」
のようなものがあると思います。
そんな皆さまの疑問に、管理栄養士の私がお答えしていきますね。
ナットウキナーゼは血液をサラサラにしない
「納豆食べたら血液がサラサラになるって本当?」
ツカサ
たしかに納豆に含まれているナットウキナーゼという酵素には、血栓を溶解する働きが認められています。
血栓とは、血管内で血液が凝固したものをいう
しかしそれは試験管内で確認された働きです。
ナットウキナーゼは酵素です。酵素はタンパク質でできているので、消化管内で分解され小腸から吸収されることになります。
つまり、納豆を食べてもナットウキナーゼがそのまま血管内に到達できるわけではないので、納豆に血液サラサラ効果を期待するのはできないといえます。
そもそも血栓が形成されにくいことを“血液サラサラ”といっていいのか微妙なところですけどね。
※ナットウキナーゼ以外の要因によって、血栓の溶解が促進される可能性はありますが、信頼性の高い研究データは乏しいといえます
補足:血栓を溶解する酵素ウロキナーゼ
ちなみに血栓を溶かす働きのある酵素として、ウロキナーゼというものがあります(ヒトの尿中に存在)。
ウロキナーゼは薬剤としても活用されていますが、静脈注射することでその効果を発揮します。経口摂取では血栓溶解の効果は期待できません。
そう考えると、やはりナットウキナーゼの経口摂取よる血栓溶解作用は、期待できないような気がしますね。
納豆は血液を固めるビタミンKを多く含む
納豆に多く含まれるビタミンの1つにビタミンKがあります。
なぜ納豆にビタミンKが多いのかというと、納豆菌がビタミンKを産生するからです。
ビタミンKには、ビタミンK1とK2がある。納豆菌が産生するのはビタミンK2。
このビタミンKには、血液を凝固させる働きがあります。
「え? じゃあ納豆を食べ過ぎたら、血液がドロドロになるん?」
と思った方、安心してください。
ツカサ
なぜなら、ビタミンKは『血を固める必要がある時に』血液を凝固させるからです。具体的には出血などが起こった時などですね。
むやみやたらに血液を凝固させるわけではないので、納豆の食べ過ぎによる血液ドロドロを心配する必要はないのです。
関連記事>>ビタミンKの生理作用と欠乏症・過剰症
ワルファリン(ワーファリン)服用者は納豆禁止
ただし、納豆を絶対に食べてはいけない場合もあります。
それはワルファリンを服用中の患者です。
ワルファリンは抗血液凝固作用のある薬剤。血栓症、塞栓症のリスクのある患者に処方される。
ワルファリンは、ビタミンKの働きを抑制することで血液凝固を抑制し、血栓の形成を防ぐ薬剤です。
先に述べたように、納豆にはビタミンKが多く含まれていますから、ワルファリンの効果を弱めてしまうんですよね。
しかも納豆の場合、“納豆菌がビタミンKを産生する”ため、食事が終わった後でも腸管内でビタミンKが作り続けられてしまうんですよね。
これが『ワルファリン服用患者が納豆禁止になる』理由です。
ちなみに、ビタミンKの多い食材として、他にもホウレンソウやブロッコリーなどがありますが、(常識的な食べ方をしているのであれば)ワルファリンを服用中であっても気にする必要はありません。
納豆のように、食後に腸管内でビタミンKの産生が続くようなことはありませんから。
納豆の授業まとめ
以上、納豆のお話でした。
- ナットウキナーゼが血液中で血栓溶解作用を発揮する可能性は低い
- 納豆菌はビタミンK(血液凝固に関与)を産生する
- ワルファリン服用患者は納豆禁止
この3点を覚えておいてくださいね。