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水溶性ビタミンであるナイアシンの生理作用と欠乏症について解説していきます。
ナイアシンは糖質代謝や脂質代謝をはじめとする酸化還元反応に関わっています。
具体的には、クエン酸回路などで補酵素として関与しています、その仕組みを解説していきます。
ナイアシンの化学名はニコチン酸、補酵素型はNADとNADP
ナイアシンの化学名はニコチン酸です。
ナイアシンは魚介類や肉類に多く含まれているので、まぐろやかつお、牛肉、豚肉などが良い補給源となります。
ほとんどのナイアシンは、生体内でニコチン酸アミド(ニコチンアミド)となっています。
さらに、このニコチン酸アミドの大部分が補酵素型であるNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)またはNADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)となります。
NADとNADPは酸化還元反応の補酵素として働く
NADやNADPは糖質代謝や脂質代謝をはじめとする酸化還元酵素の補酵素としての働きがあります。
NADが補酵素として機能する代表的な代謝経路は、クエン酸回路ですね。
関連記事>>クエン酸回路の場所と代謝のポイントをわかりやすく解説
ツカサ
それに対し、NADPが補酵素として機能する代謝経路はペントースリン酸回路です。
酸化還元反応に関与するため『NAD⇔NADH』や『NADP⇔NADPH』の双方向の変化が起こる。
ナイアシンはトリプトファンから生合成される
なお、ナイアシンはアミノ酸であるトリプトファンから生合成可能です。
ということは、タンパク質を十分摂取しておけばトリプトファンの補給ができるので、ナイアシンの生合成可能な量も増える(=欠乏になりにくい)ということです。
ただし、トリプトファン→ナイアシンの変換効率は1/60、つまりトリプトファン60mgからナイアシン1mgしか生合成できません。
ナイアシンの欠乏症:ペラグラ
ナイアシンの欠乏症といえばペラグラですよね。
ペラグラでは皮膚炎や下痢などが主症状となります。
ツカサ
ナイアシンの授業まとめ
以上、ナイアシンのお話でした。
- ナイアシンの補酵素型はNAD、NADP
- NAD、NADPは酸化還元酵素の補酵素として関与する
- 欠乏するとペラグラ(皮膚炎、下痢)が起こる
この3点を覚えておいてくださいね。
<参考文献>
・基礎栄養学(改訂第5版),南江堂,2015.
・三訂 基礎栄養学(Nブックス),建帛社,2015.
・生化学(標準栄養学講座),金原出版株式会社,2002.