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脂溶性ビタミンであるビタミンEの生理作用と欠乏症・過剰症について解説していきます。
ビタミンEはアーモンドなどの種実類に多く含まれており、美容業界の方やモデル業の方などが
「美容と健康のためにアーモンドを毎日食べています」
みたいなコメントをしていることも多いです。
その理由の1つは、ビタミンEには抗酸化作用があり、私たちの体を構成している細胞膜を酸化から防いでくれているからなのです。
ビタミンEの化学名はトコフェロール
ビタミンEの化学名はトコフェロールです。
トコフェロールには、
- α-(アルファ)トコフェロール
- β-(ベータ)トコフェロール
- γ-(ガンマ)トコフェロール
- δ-(デルタ)トコフェロール
の4つが存在します。
このうち、生理活性が最も高いのはα-トコフェロールです。
生理活性とは、生体内でどれくらい働くことができるか(生理的調節機能の高さ)を意味する。
ビタミンEは植物性油脂に多く含まれる
ビタミンEを多く含む食品は植物性食品です。
特に大豆油やコーン油、ひまわり油、落花生、アーモンドなどに多く含まれています。
ビタミンEの働きは細胞膜の酸化を防ぐこと(抗酸化作用)
ビタミンEには抗酸化作用(物質の酸化を防いでくれる働き)があります。
具体的には、私たちの体を構成している細胞膜の酸化を防いでいます。
細胞膜はリン脂質から構成されているのですが、このリン脂質中の不飽和脂肪酸に酸化が起こりやすいんですよね。
この不飽和脂肪酸の酸化を防ぎ、細胞膜の機能を正常に保ってくれているのがビタミンEななのです。
ちなみに、不飽和脂肪酸が酸化されやすい理由は、こちらの記事『飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いは二重結合』で解説しています。
ビタミンEの欠乏症:溶血性貧血
ビタミンEが不足すると、細胞膜を酸化から守ることができなくなってしまいます。
特にダメージを受けやすいのは、私たちの血液中を流れている赤血球です。
赤血球も1つの細胞ですから、細胞膜で覆われています。
ビタミンEが欠乏すると、この赤血球の細胞膜を酸化から守れなくなり、溶血性貧血を起こしてしまうことがあります。特に新生児に起こりやすいです。
溶血とは、赤血球が破壊され、赤血球中のヘモグロビンが血球外に出ていくこと。
ビタミンEの過剰症:特になし
ちなみにビタミンEは、脂溶性ビタミンでありながら、過剰症がありません。
食べ過ぎたとしても過剰症にならないので、安心して摂取することができますね。
ツカサ
ビタミンEの授業まとめ
以上、ビタミンEのお話でした。
- ビタミンEの化学名はトコフェロール
- 生理活性が最も高いのはα-トコフェロール
- ビタミンEの働きは抗酸化作用
- 欠乏症は溶血性貧血
この4点を覚えておいてくださいね。
<参考文献>
・基礎栄養学(改訂第5版),南江堂,2015.
・三訂 基礎栄養学(Nブックス),建帛社,2015.
・生化学(標準栄養学講座),金原出版株式会社,2002.