糖質の消化酵素の分泌場所と働きをまとめてみよう

糖質の消化酵素

私たちの消化管に分泌される消化酵素のなかから、デンプンなどの糖質を分解する酵素をまとめていきたいと思います。

各消化酵素の名前だけでなく、『どこに分泌され、何を消化(分解)するのか』に注目して勉強しておきましょう。

唾液に含まれる糖質の消化酵素

唾液腺から分泌される唾液は、口腔に分泌されます。唾液には糖質の消化酵素であるα-アミラーゼ(プチアリン)が含まれています。

α-アミラーゼ(プチアリン)の働き

唾液に含まれるα-アミラーゼは、口腔内に入ってきたデンプン、つまりアミロースやアミロペクチンを加水分解する酵素です。

唾液中のα-アミラーゼの作用によって、デンプンが少しだけ分解されたデキストリンや二糖類であるマルトースが生成します。

お米を噛めば噛むほど甘く感じるのは、α-アミラーゼの作用時間が長くなり、マルトースが生成した証拠です。

ただ普段の食事で、米の甘味を感じられるくらい咀嚼することはあまりないと思うので、大部分はデンプン、またはデキストリンの状態で口腔内を通過すると考えてください。

膵液に含まれる糖質の消化酵素

膵臓から分泌される膵液は、十二指腸に分泌されます。膵液には糖質の消化酵素であるα-アミラーゼが含まれています。

名前は唾液中のα-アミラーゼと同じですが、若干ながら酵素の一次構造が異なります。

α-アミラーゼの働き

唾液中のα-アミラーゼで分解しきれなかった糖質は、膵液中のα-アミラーゼによってさらに細かく分解されます。

具体的には、二糖類であるマルトース、イソマルトースくらいまで分解されることになります。

イソマルトース
イソマルトースは、グルコース2分子がα-1,6結合した二糖類。アミロペクチン末端のα-1,6結合により生成。

小腸に存在する糖質の消化酵素

小腸の細胞膜付近には、二糖類を分解するための酵素(マルターゼ、イソマルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼ、トレハラーゼ)が存在しています。

糖質は単糖類まで分解しないと吸収することができない栄養素であるため、これらの酵素の働きは消化・吸収において非常に重要な役割を果たしているといえます。

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マルターゼ(グルコアミラーゼ)の働き

マルターゼは二糖類であるマルトースを加水分解し、単糖類であるグルコースを2分子生成する酵素です。別名として、グルコアミラーゼと呼ばれることもあります。

イソマルターゼの働き

イソマルターゼは二糖類であるイソマルトースを加水分解し、単糖類であるグルコースを2分子生成する酵素です。

スクラーゼの働き

スクラーゼは二糖類であるスクロースを加水分解し、単糖類であるグルコースとフルクトースを生成する酵素です。

ラクターゼの働き

ラクターゼは二糖類であるラクトースを加水分解し、単糖類であるグルコースとガラクトースを生成する酵素です。

トレハラーゼの働き

トレハラーゼは二糖類であるトレハロースを加水分解し、単糖類であるグルコースを2分子生成する酵素です。

トレハロース
トレハロースは、グルコース2分子がα-1,1結合した二糖類。マッシュルームなどに含まれる。

糖質の消化酵素の授業まとめ

以上、糖質の消化酵素のお話でした。

  • 糖質の消化酵素は、唾液、膵液、小腸に存在する
  • 具体的な消化酵素の名前と働き
  • 糖質は単糖類まで分解しないと消化できない

この3点を理解しておいていくださいね。

<参考文献>
・基礎栄養学(改訂第6版),南江堂,2020.