トランス型不飽和脂肪酸とシス型不飽和脂肪酸の違い

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トランス型不飽和脂肪酸

トランス型不飽和脂肪酸(以下、トランス型脂肪酸)とシス型不飽和脂肪酸(以下、シス型脂肪酸)の違いについて解説します。

トランス型脂肪酸は二重結合を持つため、分類的には不飽和脂肪酸に当てはまります。

関連記事>>飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いは二重結合

この不飽和脂肪酸というグループは、水素の位置関係によってトランス型とシス型に分類されるのです。

では、このトランス型とシス型、どのような違いがあるのでしょうか。

天然に存在する脂肪酸の多くはシス型

天然(自然界)に存在する不飽和脂肪酸は、ほとんどシス(cis)型です。

それに対しトランス(trans)型は、人工的に生成することが多い脂肪酸です。

補足説明

自然界にもトランス脂肪酸は存在する。特に牛や山羊など由来の乳類、または肉中に微量ながら含まれる。

トランス型脂肪酸は水素の位置が違う

ではまず、シス型脂肪酸とトランス脂肪酸の構造上の違いについて解説します。

トランス脂肪酸とシス型脂肪酸の違いは『二重結合を構成する炭素に結合する水素の位置』です。

トランス型脂肪酸とシス型脂肪酸

オレイン酸とエライジン酸を例に確認してみましょう。

オレイン酸とエライジン酸は、どちらも炭素数18(C18:1)の不飽和脂肪酸なのにも関わらず名称が異なります。

その理由は水素の位置が異なるからです。

シス型であるオレイン脂肪酸の場合、2つ水素は両方とも同じく上向きに結合していますよね。

それに対しトランス型であるエライジン酸は、水素の位置が異なる位置関係(対角線上)になっています。

この水素の位置の違いが、シス型とトランス型の違いといえるのです。

トランス型脂肪酸は融点が高く溶けにくい

ではトランス型脂肪酸の特徴は何でしょうか?

それは融点が高いことです。

トランス脂肪酸の融点

一般に不飽和脂肪酸の融点は低く、溶けやすいため、常温で液体であることが多いのですが、それはシス型の場合です。

それに対しトランス型脂肪酸は融点が高く、溶けにくいため、常温で固体であることが多いです。

例えば、先ほど紹介したシス型脂肪酸であるオレイン酸の融点は約10℃。常温では液体です。

それに対してトランス型脂肪酸であるエライジン酸の融点は約40℃。常温で固体となります。

トランス型脂肪酸の生成は水素添加が原因

ではトランス型脂肪酸はどのようにして生成するのでしょうか。

それは不飽和脂肪酸から飽和脂肪酸をする過程で生成します。

トランス型不飽和脂肪酸の作り方

不飽和脂肪酸から飽和脂肪酸を作るためには『水素添加』を行う必要があり、この水素添加の過程でトランス型脂肪酸が生成するのです。

トランス型脂肪酸の授業まとめ

以上、トランス型不飽和脂肪酸とシス型不飽和脂肪酸のお話でした。

  • トランス型とシス型の違いは水素の位置
  • トランス型脂肪酸の融点は高い
  • トランス型脂肪酸は、水素添加により生成する

この3点を覚えておいてくださいね。

[say”]今回はトランス型脂肪酸の健康面への影響については、あえて言及していません。それはまた別の機会にお話したいと思います![/say]